ポリ塩化アルミニウムPolyaluminum chloride
一般に水中に濁質として存在している微細粒子の表面はマイナスの電荷を帯びており、お互いに反発しあっている為安定な状態を保っています。そこにPACを添加すると 水中のアルカリ分と反応しプラスの電荷を帯びた水酸化アルミニウムを生成します。そして、濁質中の微細粒子表面のマイナス電荷をプラスの電荷が中和する事で凝集が起こり、フロックを形成します。このフロックは微粒の濁質も吸着し大きく重くなり沈降します。この性質が上下水道、工業用水、産業廃水等の凝集剤として用いられる理由です。しかし、PACの添加率が適正でないと、電気的中和が不完全となり良好な凝集が起こらず円滑な処理は行えません。
化学名 | 塩基性塩化アルミニウム |
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一般名 | ポリ塩化アルミニウム、PAC |
成分及び含有量 | Al2O3として10.0~11.0% |
分子式 | [Al2(OH)n・Cl6-n ]m 但し1≦n≦5、m≦10 |
官報公示整理番号 | 化審法(1)-12、(1)-17 |
CAS No. | 1327-41-9 |
化学物質排出把握管理促進法 | 非該当 |
労働安全衛生法第57条の2 | 表示対象物、通知対象物(アルミニウム及びその水溶性塩) |
水質汚濁防止法 | 指定物質(アルミニウム及びその化合物) |
毒物及び劇物取締法 | 非該当 |
消防法 | 非該当 |
関係規格 | JIS K-1475、JWWA K-154 |
腐食性 | 有り(Cl-による酸性) |
製品規格
製品名 | 普通品 PAC#100P PAC#100 |
高塩基品 PAC#100W |
超高塩基品 PAC#100H |
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規格項目 | 単位 | |||
外観 | - | 無色~黄味がかった 薄い褐色の透明な液体 |
無色~黄味がかった 薄い褐色の透明な液体 |
無色~黄味がかった 薄い褐色の透明な液体 |
酸化アルミニウム | wt% | 10.0~11.0 | 10.0~11.0 | 10.0~11.0 |
塩基度 | wt% | 45~65 | 58~65 | 65~75 |
硫酸イオン | wt% | 3.5以下 | 2.8~3.5 | 3.5以下 |
比重 | - | 1.19以上 | 1.19以上 | 1.19以上 |
pH(10g/L溶液) | - | 3.5~5.0 | 3.5~5.0 | 3.5~5.0 |
特徴
・フロックの形成が早く、吸着活性度が非常に高いので短時間で強力な凝集性能を発揮します。
・適正pHと注入量の許容範囲が広いので(特に高塩基品PAC#100W)急激な水質の変動に対応できます。
・※通常最適はpH6~8です。
・PAC(特に高塩基品PAC#100W・100H)は除濁効果に優れ、特に高濁度の場合優れた効果を発揮します。
・PACはアルカリ消費量が少ないため硫酸アルミニウムと比較してアルカリ剤を極端に減少させる事が出来ます。
・PAC(特に高塩基品PAC#100W・100H)は冬季の低水温や低アルカリ度水でも硫酸アルミニウム使用時に比べ、凝集効果は著しく悪化しません。
・上水道、産業用排水に着色等の問題を残しません。
主な用途
①上水道用凝集剤 ②下水道用凝集剤 ③し尿処理用凝集剤 ④産業排水用凝集剤