硫酸アルミニウムAluminum sulfate
一般に水中に濁質として存在している微細粒子の表面はマイナスの電荷を帯びており、お互いに反発しあって安定な状態を保っています。
そこに硫酸アルミニウムを添加すると水中のアルカリ分と反応しプラスの電荷を帯びた水酸化アルミニウム〔Al(H2O)χ(OH)6-χ〕(χ-3)+を生成し、濁質中の微細粒子表面のマイナス電荷を中和する事で凝集が起こり、フロックを形成します。最終的には、次の反応式で示されます。
Al2(SO4)3・18H2O+3Ca(HCO3)2→2Al
(OH)3+3CaSO4+6CO2+18H2O
このフロックは微粒の濁質も吸着し大きく重くなり沈降します。この性質が上下水道、工業用水、産業廃水等の凝集剤として用いられる理由です。しかし、硫酸アルミニウムの添加率が適正でないと電気的中和が不完全となり良好な凝集が起こらず円滑な処理は行えません。
種類 | 液体品 | 粉末品・塊状品 | |
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品種 | 水道用8%品 | 工業用16%品 | 工業用17%品 |
成分及び含有量 | Al2(SO4)3として 26.8~27.4% |
Al2(SO4)3として 53.6%以上 |
Al2(SO4)3として 57.0%以上 |
分 子 式 | Al2(SO4)3 | Al2(SO4)3・xH2O | |
官報公示整理番号 | 化審法(1)-25 | 化審法(1)-25 | |
CAS No. | 10043-01-3 | 17927-65-0 | |
化学物質排出把握 管理促進法 |
非該当 | 非該当 | |
労働安全衛生法 第57条、第57条の2 |
表示対象物、通知対象物 (アルミニウム及びその水溶性塩) |
表示対象物、通知対象物 (アルミニウム及びその水溶性塩) |
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水質汚濁防止法 | 指定物質 (アルミニウム及びその化合物) |
指定物質 (アルミニウム及びその化合物) |
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毒物及び劇物取締法 | 非該当 | 非該当 | |
消防法 | 非該当 | 非該当 | |
関係規格 | JIS K-1450、JWWA K-155 | - | |
引火性・爆発性 | 無し | 無し | |
金属腐食性 | 有り(SO42-による酸性) | 有り(SO42-による酸性) |
製品規格
規格項目 | 単位 | 水道用8%品 | 工業用16%品 | 工業用17%品 |
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外観 | - | 無色~黄味がかった 薄い褐色の透明な液体 |
白色~黄味がかった 褐色の固体又は粉末 |
白色~黄味がかった 褐色の固体又は粉末 |
酸化アルミニウム | wt% | 8.0~8.2 | 16.0 以上 | 17.0 以上 |
pH | - | 3.0 以上(2w/v%溶液) | 3.0 以上(1w/v%溶液) | |
不溶分 | wt% | - | 0.1以下 |
特徴
・安価でありほとんどの懸濁物、浮遊物に対し有効。
・安定性が良い。
・刺激性が少ないので取り扱いが容易である。
・上水道、産業用排水に着色等の問題を残さない。
主な用途
・凝集剤:上下水道・産業用排水全般の処理
・製紙業:サイズ剤・紙力増強剤等の定着媒体
・その他:染色助剤・顔料・医薬品・皮革なめし剤・消火剤・土木等
・その他の機能性アルミニウム用途向け